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某月某日



 「村上開新堂」のロシアケーキと「満月」の阿闍梨餅。お菓子好きなら、どこのお土産かは、おわかりでしょう! 
 一昨年、『シルビアのいる街で』の公開で、待ちわびた日本のファンを、(オールドスクールな喩えですが・・・) 悩殺したスペインのJLG。当館では今年9月に〈ホセ・ルイス・ゲリン映画祭〉を公開予定。先駆けて、東京公開が始まりました。あわせてJ・L・ゲリン監督も来日されました。いつも素晴らしい上映プログラムを開催している、京都の同志社大学今出川校地学生支援課では、2作品の上映とトークイベントが行われました。久しぶりの京都あそびを兼ねて、幻の処女作である瑞々しい『ベルタのモチーフ』をみて、場内満席の中、ゲリン監督のトークを楽しみました。
 「人生で初めてみた映画は、その人にとっての精神的外傷になり、それを癒すためにシネフィルは次から次へと映画をみるのだろう。」というゲリン監督ご自身のトラウマは『白雪姫』だったそう。当日の、タイムロスがほとんど無い明瞭な同時通訳は、『低開発の記憶 –メモリアス-』などのラテン・アメリカ映画の配給(最新作は『ル・コルビュジエの家)で当館がいつも大変お世話になっている、比嘉世津さんが担当されました。以前、比嘉さんはセツコさんと名のられておりまして、敬愛する小津安二郎監督の俳優には、家族の成長を見守るように馴染んでいるというゲリン監督が「セツコ・ハラ」とおっしゃる度に、わたくしの視線は、つい比嘉さんへと動いてしまうのでした。
 当館では『ベルタのモチーフ』が、嬉しいことに、35mmフィルムでの公開となります。光と影のレイヤー、そして耳をくすぐる風が描くサウンド・スケープ。少女にとっては全世界に等しい農村地のでこぼこ道を疾走するベルタの自転車。スペインの少女といえばヴィクトル・エリセの精巧な名作『ミツバチのささやき』を思い出さずにはいられないのですが、本作は、ガーリッシュな心象世界にさらなるリアリティの爽快感が吹き込まれた傑作だと感じました。(NY)

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Author:cineaste
ここは名古屋シネマテークの事務所です。
仕事中は資料で散らかっているデスク。
そのまん中、誰からも手が届くところにかかさず置かれているのがおやつです。
周囲は美味しい飲食店に恵まれた今池ですが、なにかと時間に追われ、外へ食事に出ようにもままなりません。
持ちこんだり、差し入れで頂いたり、出張の手土産だったりする由来さまざまなたべものをいつも視界の端にしのばせて、今日も営業中。いらっしゃいませ!